いま話題のMEMU EARTH HOTELとは?
北海道、十勝。
とかち帯広空港から車で40分ほどの大樹町の一角に、「地球に泊まり、風土から学ぶ」をコンセプトとするMEMU EARTH HOTEL(メムアースホテル)は存在する。
2018年11月にオープンしたばかりのまだ日の浅いホテルだが、これからの時代を生きる私たちにとって、新たな気付きを与えてくれる場所に間違いはない。この場所にはかつてタイキシャトルをはじめとする名だたるGI馬を輩出した名門大樹ファームが存在した。2011年、牧場の移転にともない、LIXIL住生活財団がこの土地を入手。広大な敷地と遊休資産となった牧場設備を活かし、寒冷地におけるサスティナブルな住生活の実験・研究を行うラボラトリーとして姿を変えた。
取組の一つとして、日本を代表する建築家隈研吾氏が審査員長を務める〝国際大学建築コンペ〞が行われ、世界中の建築学生達から募った前衛的なアイデアから、グランプリを受賞した作品が年に一棟ずつこの牧場内に新設されていった。〝実験住宅〞と呼ばれるこれらの作品がホテルを宿泊棟として活用されている。
また、建築家伊東豊雄氏の手によってリノベーションされたD型倉庫がこのホテルのラウンジ兼レストランであり、雄大な自然と建築によるアート空間が交じり合う、世界的に見ても稀有な場所だ。
もちろん、馬に会うこともできる。
今は当時のようなサラブレッドの生産・育成ではなく、ホテルの所有する馬とポニーの計6頭が暮らす。ここで大切にしていること、それは十勝の穏やかな時間の中で、生き物と共生する感覚を、馬を通して感じてもらうことだ。
馬はどんな動物なのか。何が好きで、何が嫌いなのか。どうコミュニケーションを取るのか。どんな風に眠り、何を食べ、人間とどう生きたいのか。馬の暮らしを観察していると、自然とそんなことをスタッフと話したくなるに違いない。
現在は、宿泊可能な実験住宅が5棟。サスティナブルなライフスタイルを提案するサービスは、命のありがたみを感じる十勝食材を使ったお食事や、専門ガイドによるSense of wonderを取り戻すような豊かな自然体験を楽しむことができる。
実験的な取り組みを続けるホテルとして、常に成長過程にあるのが、このホテルの本質。地域における未来の暮らし方を模索する MEMU EARTH HOTELの挑戦は、まだ始まったばかりだ。
※この記事は特定非営利活動法人日本乗馬普及協会が発行する「馬旅」に掲載された記事です。記事・写真の無断転載を禁じます。