イギリス乗馬倶楽部 vol.1
イギリス外乗だより
ロンドン編
<馬の背から眺めるロンドン>
イギリスで馬と言えば、アスコットの競馬、ホワイトホールの前にたたずむ近衛騎兵隊、バッキンガム宮殿での衛兵交代、最近では、ハリー王子とメーガンさんの結婚式の際の馬車行列などをまず思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。ロンドン市内は騎馬警官も頻繁にパトロールしており、ロンドン観光の際に馬に遭遇する機会は多いと思います。馬好きでなくても、パシャパシャ写真を取らずにいられないでしょう。日本で乗馬をされている読者の皆様であれば、道路に響く蹄鉄の音をきいたら、「ああ、ここで乗ってみたい!」と思われるのではないでしょうか。イギリス乗馬倶楽部はそのような皆様のご希望にお答えして、イギリスでの騎乗の手配を行っています。
ロンドンを感じられる外乗といえば、まずお勧めは、ハイドパークでの外乗です。ハイドパークは、ご存知のようにロンドンの真ん中にあり、142ヘクタール(ほぼ皇居と同じ面積)もある大きな公園です。この公園内には、ロンドン五輪の際にトライアスロンの水泳セクションで使用されたサーペンタイン池や、ロッタン・ロウと呼ばれる馬道などが整備されています。
ハイドパークで外乗をさせてくれる乗馬倶楽部は、ハイドパークステーブルズ。公園の北側に位置します。「ええ、こんなところに馬が!」というくらい住宅に囲まれた所にあります。道路に落ちているボロが、かろうじて馬がいる気配を醸しています。しかし住所をみれば、馬がいて不思議ではないのです。通りの名前はBathurst Mews。Mewsとは、その昔、ロンドンに馬車がひしめいていたころに、馬車や馬車馬などを休ませた置屋、厩の事を指しています。ロンドンの地図を広げてみれば、Mewsとつく通りは沢山ありますが、残念なことに、ほとんどが住宅地(しかも高級!)に改築されています。このBathurst Mewsだけは、昔のまま馬がメインの住人です。もし訪れる機会に恵まれた方は、ぜひこの施設の馬房も眺めてきてください。小さい空間に所狭しと配された馬房は往年の馬車全盛の頃の様子を偲ばせます。ハイドパーク外乗は、19世紀初頭から時間が止まったかのようなこの通りから、昔は馬車が出入りしていたであろうアーチ状の入り口を通って、現代の道路へ。そして車に交じって信号待ちをしてから、ハイドパーク内に入り、サーペンタイン池をぐるりと周る5マイルのコースを廻ります。サーペンタイン池の南側の馬道の向こうには、近衛騎兵隊の兵舎や馬場アリーナがあり、運が良ければ、運動中や移動中の美しい黒馬達に会えることも!
ハイドパークはロンドンっ子にも観光客にも愛される美しい公園です。その公園を馬で闊歩するのは、また特別な体験です。ロンドンっ子は、慣れていて見向きもしませんが、外国人の観光客からは羨望のまなざし。「ロンドンで見た馬」として、どこか遠い異国の地の誰かの写真に映り込んでいると想像するのもちょっと楽しい。
ロンドンのど真ん中でできる外乗は、気軽にのれて、見るところが多すぎるぐらいのロンドン観光の合間にもぴったりです。どんな季節でも楽しめるので、お勧めです。